切削油の種類とは？

切削油の種類と代表的な性能を紹介

切削油とは、金属を切削したり、加工したりする際に使うことで効率的に作業ができる油です。そんな切削には大きく分けて「不水溶性切削油」と「切削油」の2種類があり、それぞれ特徴が異なり性能にも違いがあります。

そこで今回は、切削油の種類と代表的な性能についてご紹介します。

1.切削油とは？

切削油（金属加工油）とは、機械で金属を切削加工する際に用いられます。加工される金属と工作機械の摩擦を防いで、加工面の精度を上げることはもちろんこと、仕上げ面の粗さも向上させる効果があります。また、切削油には工具の摩擦を抑えて、耐久性を高める効果もあるのが特徴です。

さらに、被削物と工具との間に切削油が流れ込むことで、工具と被削物の間に溜まった切クズなどを洗い流し除去するといったように、作業効率を全体的に向上させる効果もあります。

2.切削油の種類

切削油は大きく分けて、希釈せずに使用する「不水溶性切削油」と水に薄めて「水溶性切削油」の2種類に分けられます。ここからは、それぞれの特徴について紹介します。

2-1.不水溶性切削油

不水溶性切削油の主成分は、鉱油および脂肪油です。潤滑性や抗溶着性に優れているため、加工面の粗さや加工精度が要求される加工に適しています。しかし、不水溶性切削油の多くは、消防法によるところの危険物に該当するため、法に基づいた取り扱いと火災の危険に対する予防措置が必要です。

また、油在中に含まれる極圧添加剤の有無や種類に応じて、JISでN種からN4種の種類に分類されます。種類別の適用例は以下の通りです。

N1種「1号〜4号」：非鉄金属や鋳鉄の切削加工に使われています。
N2種「1号〜4号」：一般切削加工に使われています。
N3種「1号〜8号」、N4種「1号〜8号」：構成刃先の発生を抑制する効果が強いため、良い仕上げ面が得られます。また、主に難削材の低速加工に用いられます。

2-2.水溶性切削油

水で薄めて使用するため、冷却性に優れているのが特徴です。また、引火性の危険性がないため、無人化された場所に適しています。ただし、水で希釈するため、加工した後の被削材や工具などの錆止め対策が必要です。水溶性切削油は以下の3つに分類されます。

A1種：乳白色（エマルション）をしており水溶性で最も潤滑性が高いため、低速重切削に効果的です。

A2種：半透明または透明（ソリュブル）をしていることが特徴です。洗浄性や浸透性、冷却性が高く、鋳鉄、非鉄金属や鋼に切削加工や研削加工に使われています。

A3種：透明（ソリューション）の外観をしており、エマルジョンやソリューションに比べて、泡が発生しにくく、研削加工の際に用いられます。

3.切削油の代表的な性能

切削油には種類だけでなく性能もさまざまあります。最後に、切削油の代表的な性能について紹介します。

3-1.潤滑性

切削油の潤滑作用によって、工具と工作物の摩擦を軽減できる上に、工具の寿命を延ばすことにもつながります。また、摩耗の軽減だけでなく、仕上げ面の向上、切削動力の軽減にも効果的です。

3-2.冷却性

切削作業時は摩擦が生じ、熱が発生します。熱があると工具の金属部分が膨張してしまうため、イメージしていたものとは異なる加工・仕上がりになってしまう可能性があります。しかし、切削油を使用し、加工部分の熱を冷却することで、熱による変形や軟化などから工具を守り、摩耗を低減して寿命を伸ばすことが可能です。

3-3.浸透性

工具や工作物、切屑の間のすき間に切削油が浸透することにより、切削油が潤滑や冷却などさまざまな効果を発揮することが可能です。

3-4.錆止め性

切削後の工作物は、水や酸素に反応して錆びやすい状態になります。しかし、切削油を使えば、油膜が工作物の表面に張り付いて保護膜を作り、水や空気との接触を防いで錆びるのを防ぐことにつながります。また、錆止め性は、不水溶性切削油の方が優れていることが一般的です。

3-5.作業性

機械周辺や床面、作業服など清潔さにおいては水溶性切削油が優れています。また、オイルミストや煙の発生、引火の危険性がないことも特徴です。

3-6.耐劣化性

切削油は、切屑、機械潤滑油などの異物が混入することで劣化してしまいます。しかし、水溶性切削油のソリューションは劣化に強いことが特徴です。

4.まとめ